『サピエンス全史』、少し気になるけど気軽には手が出しにくい...と思っている方に向けて簡単な要約と感想をまとめました。
サピエンス全史の要約
我々ホモサピエンスが今日に至るまでに大きな革命が3つあった。
認知革命、農業革命、そして科学革命である。
認知革命

認知革命とは、およそ七万年前から三万年前にかけて見られた新しい思考と意思疎通の方法の登場のことを言う。
認知革命が起きた原因は偶然ホモサピエンスの遺伝子に突然変異が起こったからであると考えられている。また、なぜ突然変異がネアンデルタール人ではなくホモサピエンスに起こったのか。これもまったくの偶然であったと考えられている。
突然変異の結果として登場した新しい思考と意思疎通の方法とは、一言で言えば「存在しないものについて語る能力」である。
例えば、サルは「気を付けろ!ライオンだ!」と鳴き声で意思疎通をすることが出来る。しかし「ライオンこそがわが部族の守護霊だ」と言うことはできない。
ホモサピエンスはこの虚構について語る能力を得たのだ。
部族の精霊に限らず、有限責任会社や人権などもまた現実には存在しない虚構である。この虚構のおかげで、ホモサピエンスはより多数の見知らぬ人どうしの協力が出来るようになった。
農業革命

農業革命はおよそ一万年前、段階的に起こった。
それまでの狩猟採集の暮らしから農耕へと移行し始めたのだ。農業革命により、農耕民は飢えや病気の危険が小さくなり、愉快で満ち足りた暮らしを手に入れることが出来たのか。
答えはNOだ。
平均的な農耕民は、平均的な狩猟採集民より苦労して働いていたのに得られる食べ物は劣っていたのである。
いったいなぜホモサピエンスは狩猟採集から、苦労しても実りが少ない農耕へとシフトしていったのか。次のようなシナリオが考えられる。
はじめは狩猟採集の傍らに農耕をし小麦もたまに食べる程度だった。その後、地球の気候変動も影響し小麦の生育が広まり始めた。
すると農耕に本腰を入れるため、それまでの放浪の生活様式をやめ、ひとつの村落に定住するようになった。女性は安定して子供を産めるようになり、人口が増加した。食べる人が増えたのでより大きな畑を耕し、より多くを栽培しなければいけなくなった。
しかし定住地で暮らすことで病気が蔓延するようになった。豊作の年には盗賊が襲ってこないよう見張りや城壁が必要になった。また農耕で単一の食糧源に頼るようになり、干ばつの危機にさらされるようになった。
これらが原因でやらなければならない仕事が増え、皆が「来年には今よりましになるはず」と願う一方、農耕民の生活は豊かにはならなかった。
科学革命

科学革命は主に十八世紀ごろ、ヨーロッパを中心として起こった。
この頃、現代科学の礎が築かれた。科学革命は、科学・政治・経済の相互関係で作り上げられていった。
人々は未知のものに興味を持つようになり、海を渡り新大陸を探した。そこでは天文学、地理学、植物学などの厖大な量のデータが手に入り、多くの学問分野に多大な貢献をした。
また新大陸を植民地として、先住民たちを奴隷とすることで政治的な観点でも利点があった。さらには植民地で金銀の鉱山を発見したり、プランテーションをしたり交易の中継地点とするなど経済的なメリットもあった。
そのため、科学のための新大陸への探検や遠征の資金を援助する。そして政治的・経済的な成果を得るというフィードバックループに入っていたのだ。
その結果、科学の進歩、帝国の支配、富の拡大が進んでいくこととなった。
ーーーこんな感じです。
分厚くて内容もとても濃いですから、ここでまとめたものは抜粋したほんの一部だけです。上記の3つの革命以外にも、人類の普遍的秩序となる貨幣・帝国・宗教の話なども述べられています。
本の内容を一言で表すと
この本は私たちホモサピエンスの過去、人類の歴史についてまとめられています。そして文明の進化は人類を幸福へと導いたのか?という問いに向き合っています。
サピエンス全史の続きとして、同じくユヴァル・ノア・ハラリ氏の『ホモ・デウス』につながっていきます。この本にはホモサピエンスはこれからどうなっていくのかという内容です。
感想
個人的な感想としては、超面白い!理系にオススメしたい!と思いました。
学校では習ってこなかった人類の歴史の話なので、未知の世界に足を踏み入れるようで知的好奇心が満たされます。「歴史とか覚える苦手だったんだよな~」という方も、学校とは違ってテストとかはないので純粋に楽しめると思います。笑
まずは上巻から。安い&かさばらないので電子書籍版もおすすめです。